泉岳寺にある会計事務所の、のびのびブログ

税金や労務にまつわる法改正についておしらせします。

【住宅ローン】繰上返済の威力がすごい

最近仕事の上で、「住宅ローンの繰上返済をいつするのがいいのか」ということを考えていました。

住宅ローンを組んでいる方にはお馴染みかもしれませんが、住宅ローンがあると、「住宅借入金等特別控除」で、所得税がかなり軽減されます。

家に住み始めた年で条件が違うようですが、今年住み始めた場合だと、「ローン残高×1%(上限40万円)」が控除額となり、発生した所得税からまるまる引き算できますので、人によっては所得税がほぼなくなったりします。期間は10年間です。

このようにローン残高に応じて所得税を軽減する制度があるので、住宅ローンの繰上返済の際にはそれをあわせて考える必要がありますが、、

さて本題の「住宅ローンの繰上返済をいつするか」については、もうとりあえず「今すぐに」と申し上げておきます。

もちろんもちろん、いろんな条件の考慮が必要なのですが、所得税で軽減される額」と、「繰上返済によって減る利息」を比べると、利息を減らしたほうが得な場合のほうが多そうです。

逆に待った方がいいケースとして、繰上返済額によっては住宅借入金等特別控除が使える10年間は繰上返済せず、11年目にかなり大きな額を返済するというパターンもありますが、なかなか出せる額ではないことが多いですかね、、

繰上返済の際には手数料などもかかるのでそれも併せて考慮し、さらに手元にとっておきたいお金との兼ね合いもかなり重要です。ただ住宅ローン単独で見ると、やはり利息をなるべく減らすに越したことはありません。

まあなんにしても、「繰上返済できる余裕があるなら苦労しないんだよ!」と言われそうですけどね、、

 

ふるさと納税のメリット3つとおすすめ返礼品トップ3!【執筆者も駆け込みふるさと納税します】

最近、いっきに件数が増えたという「ふるさと納税」。そろそろ年間の収入の予想もつきますので、寄付金額の目安もつきやすいのではないでしょうか。そんな年末は、ふるさと納税の絶好の機会!!

しかしはじめて行う人にとっては、なんとなく不明確さもある「ふるさと納税」。実は執筆者もその一人で、やったことありません。

f:id:cpamoriya:20171121171040j:plainでも今年こそはやるぞ!!!

この制度では(限度額までなら)自己負担2,000円で、本来税金として払うはずだったものが、なんらかの品物として(一部)返ってくるわけなので、、、最低2,000円分以上のものがもらえれば得なのではないでしょうか・・・!

今回は、ふるさと納税のメリット3つとやり方、また、事務所の税理士先生が利用したなかでのおすすめ返礼品3つを発表します。

目次

 1 ふるさと納税のメリット3つ 

1-1 メリット① 好きな自治体を選べる(納税先として)

「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」

 これは総務省のサイトからの引用ですが、この一文に尽きますかね。。都会に引っ越して住民票を移すと、都会の自治体には税金が入りますが、故郷の自治体には税金が入りません。

f:id:cpamoriya:20171107144114j:plain今住んでるところは人口多いし税収多そう。これといって(まだ)愛着もないし。育ったところの自治体にお返しして、教育費とかに充ててもらいたい!

 

1-2 メリット② 好きな返礼品を選べる

 やはりこれですね。冒頭にも書きましたが、限度額までなら、自己負担2,000円で、本来税金として払うはずだったものが、なんらかの品物として(一部)返ってくるわけなので、、、最低2,000円分以上のものがもらえれば得なのではないでしょうか。

 f:id:cpamoriya:20171107144301j:plain地元の自治体だとあんまり欲しい返礼品がない・・・。北海道のカニとかについつい目がいってしまう・・・・!・・・・・・しかしここは強い意志を持って、地元に寄付するのだ。 

 

1-3 メリット③ 翌年の住民税が減る

  給料明細を見ると、所得税より住民税のほうが高いなんてことも多いです。住民税が高すぎて辛いです。。しかし、ふるさと納税をすると来年の住民税額が減るので、毎月の差し引き給与支払額を増やすことができます。

実際は前年にふるさと納税として払っているわけなので、トータルの税金としてはそんなに変わっていないですが、多少気分は変わるのではないでしょうか。

 

2 ふるさと納税のやりかた 

2-1 限度額を調べる

 さて、次はやり方について見ていきます。所得によって、自己負担2,000円でふるさと納税できる金額の範囲が変わるので、以下のシミュレーションサイトなどを使って限度額を調べましょう。

限度額を超えてしまうと、それ以上翌年の住民税は減らないので、・・・ただの税金の寄付になります!!心配な場合は、限度額よりも少し少なめにしておいたほうがいいかもしれないです。 

www.furusato-tax.jp

 

2-2 ネットなどから申し込む

 いくらまでできるのかを調べたら、ネットなどから申し込みます。サイトに従って入力すれば大丈夫です。

以下のサイトは会員登録せずに申し込むことも出来ます。他にも、さとふる、楽天、Yahooなど、利用できるサイトは多く、またそれぞれ参加している自治体数には違いがあるようです。自分がよく使うサイトがある場合、そちらを利用すると住所などの入力の手間もはぶけそうです。

www.furusato-tax.jp

 

2-3 ワンストップ特例制度を利用or確定申告

 最後にもっとも重要なのが、ふるさと納税分を税金から差引く手続きです。ワンストップ特例制度を利用するか、確定申告をするという、ふたつの方法があります。

 ワンストップ特例制度の場合、ふるさと納税をする自治体が5つまでなら、確定申告をせずに税金から控除されます。ネットで申し込む際に、ワンストップ特例制度を利用するかどうか聞かれることがあるので(聞かれないこともあります)、「利用する」を選びます。

そうすると、後日寄附金の証明書とともに「ワンストップ特例制度」の申込書が届くので、それを自治体に郵送します。(ネット上で聞かれなかった場合は、あらかじめワンストップ特例制度の申込書は入っていると思われます)またその際、マイナンバーのコピーと身分証明書のコピーの同封が必要なことが多いです。この手続きの場合は、控除額はすべて翌年の住民税から控除されます。

もうひとつは確定申告をする方法です。この場合はその年の所得税から何%か控除され、残額は翌年の住民税から控除されます。

確定申告の予定がない方はワンストップ特例制度のほうが手軽です。また、住宅ローン控除の結果、所得税がほぼゼロになっている人は、特にワンストップ特例制度がおすすめです。

 

3 おすすめ返礼品3つ

 事務所の税理士先生が利用した中での、おすすめ返礼品をご紹介します。

3-1 北海道のたらこ

 

 

1万円の寄付でたくさんのたらこが入ってきます!冷凍すれば1年間ほどもつそうなので、ながく、豪華なごはんのお供が楽しめます。こんなにあれば、たらこパスタやたらもサラダにしてもいいですね。たらこではなく明太子もあるようです。

www.furusato-tax.jp

 

3-2 長野県のシャインマスカット

 

 

シャインマスカットはおいしい!甘さと酸味のバランスがすばらしく、おいしい!種もないですし、しかも皮ごと食べられて、房からはずして洗うだけ!!皮をむく手間が要らないところもポイント高いです。

 

3-3 山形県のもも

 

 

桃も、こんなに貰えるなんて嬉しいですね。天童市は将棋でも有名なので、なんと名前入り将棋ストラップも頂けるとのこと。申し込むときに彫りたい文字を登録すると後日届くのです。おまけもうれしいですね。

www.furusato-tax.jp

4 おわりに

 メリットもたくさんあるふるさと納税、やってみてもいいかもしれません!

 

このブログの自己紹介

自己紹介

 

このたびブログをはじめました、守屋会計事務所です。公式HPは作っておらず検索しづらくはありますが、ふつうの税理士事務所です。都営浅草線 泉岳寺駅徒歩1分の場所にあります。

歴史は長く、泉岳寺には30年以上事務所を置いています。各顧問先様は医業・卸売・小売業・不動産業など様々で、エリアは東京・神奈川・埼玉・千葉など、みなさま長く取引させていただいています。

近くには駅名の由来となった「泉岳寺」というお寺があります。こちらには赤穂事件で有名な赤穂浪士のお墓があり、毎日参拝者や観光客で賑わっています。このブログのプロフィール画像は、泉岳寺にちなみ赤穂浪士(あこうろうし)をモチーフにつくった「あこちゃん」です。

 f:id:cpamoriya:20171107144048j:plainよろしくね

 最近は事務所の目の前で、再開発の工事が行われています。2020年ごろに品川と田町の間に山手線の新駅ができる予定ですが、それが事務所の目の前です。ここも再開発エリアに入っており、建物も建て替えられるそうです。その間引っ越しなど大変そうではありますが、現在の駅前は周りにお店や飲食店などがあまりないので、駅前が開発されることを心待ちにしています。

 

執筆者について

 

ブログの執筆者は、事務所の職員です。仕事をしていると、誰もが知っておいたほうがよさそうな法改正も、頻繁に行われていることに驚きます。しかしこういった情報は文章になると読みづらくもありますし、そもそも制度自体ややこしく感じられ、普段はなかなか触れないと思います。

会計の仕事では、こういったことを説明することもなくはないので、こうしてブログで書くことで自分なりに情報をあたまに入れ、かつ少しはいろんな人に読んでもらえそうな文章になればいいなと思います。

 

ブログ開設のきっかけ・・・

 

また、HPがない中ネットで情報を流そうとなった一番はじめのきっかけは、事務所としてもう少しマンション管理組合の税務申告を請け負えないか、となったことです。マンションの屋上に携帯電話基地局(アンテナ)を設置すると、アンテナ設置料収入が発生しますが、申告していないマンション管理組合もあるそうで、税務署から指摘を受けるケースが増えています。

当事務所もその申告を行っており、比較的安価で承っているので、もう少しその請け負い業務をPRしたいと思いました。お近くの方はもちろん、関東近郊の方でお心当たりがあればお気軽にお問い合わせ下さい。

TEL 03-3441-5839 営業時間:平日9:30~18:00

 

おわりに

 

PRが一番はじめのきっかけではありますが、ブログ執筆の上では、執筆者が知っておきたいと思ったことを書くので、宣伝はほぼしません。所長の税理士先生に

「ブログ始めていいですか」と聞いたところ「いいよ」と返ってきたことではじめた「泉岳寺にある会計事務所の、のびのびブログ」をどうぞよろしくおねがいします。

【年末調整の書き方】かんたんチェック!年末調整チェックリスト

 

 11月になり、会社にお勤めの方は「年末調整」のおしらせが来ているころではないでしょうか。しかし、この「年末調整」、渡される書類といえば「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」・・・とまずタイトルを読む気にもならない

「扶養」「控除」などことばに馴染みがない場合もありますし、とにかくめんどくさそうですか、これにより、払いすぎた税金が戻ってくることもあるので、漏れのないように書き込みたいところです。

しかしそうはいっても

f:id:cpamoriya:20171107144114j:plain「やっぱり読む気にならない。」

 という方もいると思います。そんな方の参考になればということで、かんたんチェックリストを作りました。年末調整のうち、平成29年分 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」についてのチェックリストです。

<目次> 

 

はじめに 「保険」が何を指しているのかについて

 申告書には、”生命保険料控除” ”地震保険料控除” ”社会保険料控除”と、「保険」ということばが入るものが3つあります。どれも「保険」というので、相変わらずややこしいですが、

ざっくりいいますと、”生命保険料控除” ”地震保険料控除”の2つは、ご本人やそのご家族が自主的に入っている、保険会社や共済組合の保険です。一方で、 ”社会保険料控除”は国民であれば強制的に入っている、政府管轄の保険です。

会社にお勤めの方などは、

「”社会保険料控除”欄にも書くべきなのかな」

「年金とか健康保険は書くのかな」

といった疑問もあるかと思いますが、基本的に年金と健康保険など社会保険料(政府)”は給料から天引きされ、企業側が計算してくれるので記入の必要はありません。

下のチェックリストでも、①保険に入っているか、②社会保険料を払ったか、という書き方をしていますが、会社(法人)にお勤めの場合、自主的に入った保険があれば①は該当しますが、②は家族の分などを払わない限り該当しないことになります。

では前置きが長くなりましたが

かんたんチェックリスト

 ①自主的に保険に入っているか(保険会社や共済組合)

 

  • YES → 控除証明書を用意(10月頃から届く、圧着ハガキです。封筒の場合もあります。)
  • NO   → 用意するものはありません

 =さらにチェック=

□生命保険に加入している(養老・学資・年金など)

地震保険に加入している

□保険金の受取人が親族の保険がある

 

 =補足・記入の際は=

・生命保険は、保険会社からの圧着ハガキに、契約している保険について3つの「一般の生命保険料(新・旧)」「介護医療保険料」「個人年金保険料(新・旧)」という分類で金額が書いてありますので、それをよく見て記入します。

計算が要りますが、申告書の書面のとおり書き込めばわかるようになっていますので、気負いせず書き込んでいきましょう。 

地震保険は、自分が払ったものを記入します。

・保険金等の受取人が、申告書を出す本人ではない(夫・妻・親族)、という場合でも、申告者が保険料を支払っていれば申告者にまとめることができます(年金については親族は除く)。契約者は問いません。ですので、保険金の受取人や契約者が自分でなくても、払ったものは迷わず記入します。

 

社会保険料(国民年金国民健康保険料等)を払ったか

 ※給料から差し引かれた社会保険料は企業側が計算してくれるので、これに含みません

  • YES → 控除証明書を用意
  • NO   →   用意するものはありません

=さらにチェック=

□子供の国民年金を払った

□親の医療・介護保険料を払った(口座振替など、年金天引き以外の方法で払った)

 

=補足=

・企業に勤めている場合は企業の健康保険、厚生年金に加入しているので、あまり該当しないかもしれませんが、20歳以上のお子さんがいて、親が国民年金を払っていた場合や、仕送りをしている両親の分を払った場合など、生計を一にする(ひとつの財布から生活費などを払っている)親族分を支払えば控除に含めることができます。支払った額全額を記入します。

・ただ、親の医療・介護保険料について親が受給する年金から天引きされている場合は、申告に含められませんのでご注意下さい。

・さらに細かいところですが、控除証明書が必要なのは国民年金国民年金基金であり、その他の社会保険料の証明書は必要ありません。

 

③個人型・企業型年金に入っているか(iDeCoとか)

 ※給料から差し引かれたものはこれに含みません

  • YES → 控除証明書を用意
  • NO   → 用意するものはありません

・これは確定拠出年金iDeCoです。先の「生命保険会社の個人年金」とは違うので、ご注意下さい。支払った額全額を記入します。

 

④配偶者がいて、配偶者の年収が103万円超~141万円未満か

※申告者の収入が12,315,790円を超えるときはこれは使えないので飛ばしてください

  • YES → 配偶者の今年の給与見積もり額を教えてもらいましょう
  • NO   → 用意するものはありません 

・こちらは配偶者特別控除に該当する場合に記入するものです。この時期では年収が確定しておらず、あくまで見積もりとなりますが、ここの金額の判断は企業による部分もあるのでお勤めの会社の指示に従いましょう。場合によっては給料が確定したあとやり直してくれるかもしれません。

 

⑤住宅ローンがあるか

  • YES → 住宅借入金等特別控除申告書を用意(2年目以降)※1年目は確定申告が必要です
  • NO   → 用意するものはありません

 ・これは申告書に欄はないですが、住宅ローンがらみで税務署から「住宅借入金等特別控除申告書」が送られてきている方はこれも提出します。

 

おわり!

 以上となります。これらの資料を集めれば、平成29年分 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」を書くことが出来ます。「NO」となったところに関しては何の記入もいりません。もし全部「NO」となったら、名前と住所を書いて、はんこを押せば終わりです。

家族構成によっては、ほぼ書くことがないこともありますが心配いりません。はんこは忘れやすいのでご注意を。

 


にほんブログ村

この時期気になる「106万円の壁」と「130万円の壁」。壁超えする?しない?

10月ももう終わりですね。さて、パートやアルバイトで働く人は、「壁を越えないように」この時期、働きすぎないよう勤務時間の調節をする人もいるのではないでしょうか。今回は、この「壁」について、今年の法改正を交えてお伝えします。

目次

 1 社会保険にまつわる「106万円の壁」

1-1 新たに「106万円の壁」が登場

 ここから、この壁を意識することの多い典型的なケースとして、夫婦で夫が会社員、妻がパートという前提で書いていきます。

 これまで、健康保険と厚生年金に加入しなければならない人は一律、年間賃金130万円以上の人であり、「130万円の壁」といわれていたのですが、昨年から新たに「106万円の壁」が登場しました。

これは平成28年10月から法改正により、健康保険と厚生年金保険の加入対象者が広がったことによるものです。

 

厚生年金の被保険者数が常時501 人以上の企業に勤めている場合、賃金の月額が8.8万円以上であると健康保険と厚生年金保険の加入対象となります。

月額8.8万円×12か月分で約106万円となるので「106万円の壁」といわれています。 

 

1-2 どうやって計算するか

 さて、この「106万円」は、毎月の賃金を12か月分で換算したときに、見込みで106万円を超えるか、というのが判断のポイントです。

例えば今年の10月から月10万円で働き始めると今年は合計106万円には満たないですが、12か月分で換算すると106万円は超す計算になるので、この場合は社会保険に加入することとなります。

一方で、月に8.8万円を超えてしまったら直ちに社会保険に加入する、ということでもなく、実務上あくまで「見込み」で判断するので、その月にたまたま多く働いてしまったからといって、いきなり神経質になることはありません。

 

1-3 詳しい条件

 健康保険と厚生年金保険の加入対象者の詳しい条件は以下となっており、

① 週の所定労働時間が20 時間以上あること
② 雇用期間が1 年以上見込まれること
③ 賃金の月額が8.8 万円以上であること
④ 学生でないこと
⑤ 被保険者数が常時501 人以上の企業に勤めていること 

 ⑤ 被保険者数が常時501 人以上の企業に勤めていること  というのは中小企業への負担緩和のためであり、501人という数字に意味があるわけではありません。保険料は労使折半負担のため、この法改正により企業、とくに非正規雇用を多く行っている小売業などは、大幅に負担が増えることとなりました。

 ちなみによく聞く「103万円の壁」はこちらの記事とは別の話で、所得税にまつわるものですので、これは別の記事でお伝えします。

 

2 従来からの「130万円の壁」

2-1 「106万円」ではなく「130万円の壁」の人

  平成29年4月からは、被保険者数501人未満の会社で働く方も、労使で合意すれば加入できるようになっています。

こちらは「労使で合意すれば」ですので、企業によっては従来どおり、年間の賃金が130万円以上の場合に健康保険と厚生年金保険に加入となるいわゆる「130万円の壁」となります。

 

2-2 この壁とは

  「130万円の壁」というのは、

”夫が会社で社会保険に加入していれば、妻は年間収入が130万円未満(60歳以上の場合や障害のある場合は180万円未満)であり、かつ夫の年間収入の2分の1未満であれば、夫の「被扶養者」として保険給付が行われる”

ということで、この場合は社会保険の被保険者にならなくてよいのですが、「被扶養者」の範囲に入らなくなってしまう基準が年間収入130万円なので、「130万円の壁」といわれています。

 健康保険と厚生年金の加入対象者は広がりましたが、この被扶養認定基準の130万円に変更はありません。

 

3 壁を超えるか、超えないよう抑えるか

 3-1 壁越えのメリットとデメリット

 さて、気になるのは「106万円の壁」「130万円の壁」を超えないよう働くのを抑えたほうがいいのか、「壁」を超えて厚生年金・健康保険に加入したほうがよいのか、というところですが、これについてよく言われているのは、以下のようなことです。

・短期的に見て、壁をこえるならば「106万円の壁」の場合一気に120~140万円稼がなければ手取りが減ってしまうこと

・長期的に見て、健康保険には傷病手当金・出産手当金などの給付があり、また厚生年金に加入すれば将来受け取れる年金額が増え、メリットがあること

 

3-2 結論 

 しかし健康保険の給付は必ず受ける機会があるとは限りませんし、将来の年金額が増えることも具体的に想像しづらく、なかなかどうすればよいのか、決めにくいというのが実情なのではないでしょうか。

 結局、働くのを増やすも減らすも、「今後どういう働き方をしていくのかを決めるのが大事」という投げっぱなしな結論になってしまうのですが・・・。 (働き方改革の一環で、女性の労働力を増やそうとしている訳なので、今後「壁越え」が増える見込みだとは思います。)

 

 3-3 壁越えしないほうがいい人

 しかし、「できるなら壁越えはしない方がいい人」がいます。それは、妻の働くところが社会保険の適用事業所でない場合です。(法人ではなく、かつ常時労働者が5人未満の事業所)

 この場合、「130万円の壁」を超えてしまうと、国民健康保険国民年金の保険料を払わなければならなくなります。 国民健康保険国民年金は、企業の健康保険・厚生年金と違い、壁を超えた場合のメリット(将来の年金の受取額が増えるなど)が無く、ただ払う保険料が増えるだけだからです。

夫の被扶養者の場合は、健康保険では給付の範囲に入っていますし、国民年金は保険料を払っているものとみなされているのですが、それがなくなり、自分で社会保険に加入することとなります。

 

4 おわりに

 なかなか複雑なしくみに思えて、敬遠しがちな話題かもしれませんが、思わぬ保険料負担で不利になることがないよう、制度を頭にいれておきたいところです。


にほんブログ村

今に始まったことじゃない「働きすぎ」〜過労死白書の公表に寄せて

ここ2、3年で、働き方に関する話題が増えたように感じます。過労死について大きく報道されたこともあり、昨年から、政府から過労死白書が発表されることとなりました。

でも、現代の労働時間は昔と比べて同じくらいか、むしろ減っているようです。今の時代になって、問題として大きく取り上げられるようになってきたということでしょうか?

そしてこれは今に始まったことではないようで、、、今回は労働者の酷使がいつからあったのかについて書いていきます。

 目次

 

1 今年の過労死白書より

1-1 特に目立つ業種は

今年の白書では、特に運送業と外食産業が過労死が目立つとして取り上げられており、さらに対策として「定休日を設けることが有効」などの見方が紹介されていました。

しかし、、…非現実的か!!このサービス社会の中、他が休まず営業しているのにもかかわらず定休日を作る店(特にチェーン店)が増えるとはなかなか考えにくいと思います。 

 

1-2 仕事のペースは他人次第?

また、「自分のペースで仕事が出来ること」がストレス軽減につながるそうですが、これは業種によっては業務の性質上難しいです。

お客さんに呼ばれれば、行かないといけないですし、裁量が、自分ではなく他者や時間に握られているというのは、業務量に重ねて、かなりのストレスになります。

 

 2 過労死はいつからあった?

2-1 労働者は酷使しよう?

 では、なぜ労働者の酷使が行われるのでしょうか。経営にとっては、労働者の健康を守り育成したほうが、長い目で見れば合理的という話がありますが、

 一方でそうならない理由として、労働者の育成に時間とお金がかかることや、労働者が頻繁に転職してしまうことが挙げられます。そのため、労働者を短期間で酷使することとなります。

 すぐにいなくなってしまうのなら、労働者を酷使するのは、かえって合理的だといいます。

 

2-2 はじまりは明治時代…

こういったことで、なかなか民間では労働者を保護しようとはなりにくく、これまでも、労働者保護は政府が介入することで行われてきました。現在は労働法がさまざまありますが、その前身となるのは明治時代にできた「工場法」です。

 ひどい環境で酷使され健康を害す労働者が多くいたなか、軍事工業を発展させて国を強くするためには労働力(労働者ではない)の保護が必要だということで、政府は工場法の制定を目指しました。しかしはじめは財界の反発を受けて廃案となりました。

 

2-3 やっと制定!

 

しかし日清・日露戦争を経て、富国強兵との関連を説くことが一層有効となり、約30年かけてやっと工場法は公布・施行されました。施行に労働関係の不安定な中小企業は淘汰され、だんだんと、大規模化する企業に資本が集中することとなりました。

 

3 まとめにかえて

 

この経緯を見ると、経営者の自発的な労働者保護は期待しにくいこと、政府の介入を経て、それにそぐわない企業が自然に淘汰されることで資本・労働市場の流れが変わること、などがわかります。

 今年公表された白書では、違法な長時間労働が行われた企業に対しての本社への指導や、企業名公表などの施策が紹介されています。こういったことで、すぐに効果が出るとは限らなくても、消費者や資本家、労働者がこういった企業をなるべく避けるようにすることで徐々に変わっていくのではないかと思います。

 

 

厚生年金の保険料率18.3%へ・育児介護休業法改正

今回は 「厚生年金の保険料率18.3%へ」と「育児介護休業法改正」の2つの話題についてです。

目次

 

1 厚生年金の保険料率18.3%へ

 平成29年9月分から、厚生年金保険料率が変わりました。平成16年10月の13.934%から毎年引き上げられ、今年、18.3%でもって引き上げ終了とのことです。 

 

1-1 13年間でいくら引き上げられた?

13年間かけて引き上げられたんですね。仮に給与が20万円なら、事業主と折半負担だとして、労働者負担分は平成16年なら13,934円、今年は18,300円。

・・・毎月4,000円以上違いますね。

 上がっているなとは思っていましたが、計算してみると、より実感がわきますね、、、

 

1-2 いつから保険料が変わるの?

  さて、当月の厚生年金の保険料(健康保険料も)は翌月の給与から控除できるとされているので事業所に勤めている被保険者の場合今月の10月分給与から、改定された保険料が控除されることとなります。

 また、7月1日時点で勤めている主な被保険者は、定時改定が行われ、給与の額によって保険料額の等級が見直されています。

 厚生年金はほとんどの被保険者が、給与額の変更があった被保険者は健康保険も含め、保険料額が変わることとなると思いますので10月の給与明細はよく確認したいですね。

 

2 育児介護休業法改正

 101日より、改正育児・介護休業法が施行されました。今回の改正は育児休業についてで、子が最長2歳に達するまで取得可能・個別周知の努力義務・育児に関する目的で利用できる休暇制度を設けることの努力義務

 以上が新たに設置されました。

 

2-1 注目すべき改正点は?

  特に注目すべき改正点は、子が2歳になるまで育児休業がとれるようになったというところです。基本的には1歳までなのですが、待機児童の問題をふまえ、保育園に入園できなかった場合、育児休業を延長できます。

 これまでは16ヶ月まで延長できるという法律だったところ、子の生まれ月による不公平をなくすため(保育園は主に4月入園のため)、2歳までとなりました。

 

2-2 育休中の給与は払われる?

 さて、ここで育児・介護休業法がそもそもどういうものかなのですが「労働者の申し出により、労務提供義務を消滅できる」というものです。

 使用者と労働者の間には労務提供義務というのがありますが、申し出ればそれを一定期間消滅できると、法律で決めてあるのですね。原則、使用者はそれを拒むことができません。

 ただその間、賃金についてのきまりは特になく、使用者は特段賃金を払わなくてもよいです。労働者の育児休業中の経済的援助、また職業の継続の援助のためには雇用保険法より、「育児休業給付」があり、規定を満たせばその給付が受けられます。

 こちらも、今回の法改正に伴って、最長2年まで給付が受けられるようになりました。